PLフィルターのお話

まず、「偏光」についてのお話からはじめましょう。
PLフィルターは「偏光フィルター」とも呼ばれているように、
ある特定の偏光をカットする役割があります。

光は電磁波の一種で波の性質を持っています。
通常は光の振動は進行方向に対して直角で、
いろいろな方向に振動する光が集まって自然光を構成しています。

この光がある物体の平面に特定の角度(35度くらい)であたり反射すると
理論上、反射した光はある一方向のみに振動する偏った光になるのです。
これを偏光と呼びます。

ただし金属面に反射した光は偏光になりません。
ですのでPLフィルターは金属面の反射光はカットできません。

それから反射した光がすべて完全な偏光現象を起こすのではなく、
弱いながらもいろいろな方向に振動する光も含まれます。

さて、次にPLフィルターの構造ですが、
偏光膜という特殊なモジュールをガラスでサンドイッチした構造になっています。
偏光膜はある特定の偏光の方向を持った光と、
偏光特性を持たない光だけを通すようになっています。

大雑把な構造は下図のようになっており、

この偏光膜の隙間を通れる偏光と自然光のみがこの偏光膜を透過できます。

逆にいえばこの隙間を通れないように角度を調節すれば、
ある特定の偏光のみをカットすることが出来るのです。
それには偏光の方向に対して90度になるように
PLフィルターの角度を変えればいいのです。
そのためPLフィルターは回転できるようになっているのです。

PLフィルターには2つのタイプがあります。
通常のPLフィルターとサーキュラーPL(円偏光)と呼ばれるタイプの二つです。

サーキュラーPLフィルターは偏光膜の後ろに
位相差板というモジュールが組み込まれています。
このモジュールで透過した偏光を円偏光に変換している模様です。
円偏光というのは偏光の振動の方向が、
進むにしたがって時計回りや半時計回りに変わっていく偏光です。
光がらせん状に進むのではなく、振動のベクトルが円を描くのです。
ともかくそのような円偏光になる模様です。
この円偏光フィルターについてはちょっと資料が見つからないので
確定的なことは言えません。が、そういう仕組みだと聞きました。

なぜ、円偏光に変換しなければならないのか?
それは一眼レフのミラーに秘密があります。
AF一眼レフや、一部のMF一眼レフでミラーがハーフミラー化されています。
このハーフミラーが偏光フィルターと同じ性質を持っているのです。
つまり、PLフィルターをレンズにつけると
PLフィルターの2枚重ねの状態になります。
実際PLフィルターを2枚持っている方は試していただきたいのですが、
ある角度にするとほとんど光を通さなくなってしまいます。
これがカメラに起こると露出計やAFの測距に支障が出ます。
そのために影響の出ない円偏光フィルターが必要になるのです。

余談ですが、PLフィルターには寿命があります。
新品のPLフィルターと5年ほど使ったPLフィルターを並べると
わかるのですが、色褪せたような感じになります。
メーカーによってほんのり緑色になってきたり
アンバーがかってきたりするようです。
もちろん新品のPLフィルターにもややカラーバランスが
気になるものもありますが、
寿命になったフィルターはカラーバランスを崩すので使わない方が懸命です。
PLフィルターは思ったよりもデリケートなフィルターだといえるでしょう。

PLフィルターの効果に反射光を消すというほかに
コントラスト効果というものもあります。
青空などにも空気中の微粒子によって乱反射した偏光が含まれているので、
それをカットすると青空が濃く出るという効果です。
これも、偏光と反射光の関係からすると効果の大きく出る方角があるようです。
聞いた話ですと順光の青空が効果が大きいそうですが、
やや斜光気味の順光の青空が経験的にはいいようです。
それから空気がきれいですと偏光を作る微粒子等が少ないので
偏光も少なくなります。
こういう青空はもともと濃い青色に写ります。
このときPLフィルターを使うと空の色が黒っぽくなり、
不自然になり、かえって逆効果にもなる場合があります。
効果を見ながらギリギリの線で使うか、
黒っぽくなる効果を意図的に必要とする場合ならそれもいいでしょう。
ややくすんだ感じに(白っぽく)見える青空のほうが効果は期待できそうです。

PLフィルターは露出倍数が2〜4倍ということなので、
おおよそ1絞りから2絞りほど暗くなります。
ファインダーも暗くなるので必要以上の使用は避けたほうがいいでしょう。

2001/9/26改稿

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